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2019/08/13もっとよく知ろう!「猫白血病」のこと

 

皆さん、「猫白血病ウイルス感染症」ってご存知ですか?

 

 

先日お話しした「猫エイズ」と同じく、猫ちゃんで注意したい感染症の一つです。

今回は、この「猫白血病ウイルス感染症」について詳しくお話ししていきたいと思います!

 

 

 

 

そもそも「猫白血病ウイルス感染症」とは、一体どんな病気なのでしょうか?

 

その名の通り、“猫白血病ウイルス【Feline Leukemia Virus】(FeLV)”に感染したことによって様々な症状が引き起こされる感染症の事を言います。

「白血病」という名前がついていますが、白血病の他にも、免疫不全や貧血、リンパ腫などの白血病とは異なる病気を引き起こす事も多くあります。白血病を含め、「FeLV関連疾患」と呼ばれるこれらの病気を発症した場合、残念ながら完治する事が難しく、数ヶ月〜数年で死に至る感染症です。

 

 

 

 

感染したらすべての猫が発症してしまうのでしょうか?

 

年齢や免疫力など、ケースによって異なります。

他の猫から感染しても、年齢や健康状態などの免疫機能などによっては、感染してすぐに体内からウイルスを排除できる場合もあります。

一方、ウイルスに感染した猫が、免疫によってウイルウスを排除できず、骨髄内でウイルスが増殖する「持続感染」の状態になった場合、その多くが3年以内に免疫不全やリンパ腫などの「FeLV関連疾患」を発症してしまうのです。

中には、「潜伏感染」と言って、ウイルスの増殖は抑えられているものの、完全に排除できていない状態もあります。その場合、ストレスや免疫抑制剤の投与など、免疫が弱くなる状態が引き金となり、ウイルスを活性化させて「持続感染」の状態を引き起こす事もあります。

そのため、一度は感染を確認された猫は長期にわたって体調管理を行なっていく必要があります。

 

 

 

 

どうやって感染するのでしょうか?

 

感染した猫の唾液や涙、糞尿などにウイルスが含まれ、それが口や鼻から入る事で感染します。

具体的には、猫同士が喧嘩して噛み付いたり、じゃれて舐め合ったり、食器やトイレを共有する事でも感染します。多頭飼育のお家で感染した猫ちゃんがいる場合は、他の猫たちと隔離をしなければいけません。

また、感染した猫が妊娠した場合も、胎盤やお乳を介して母子感染したり、母猫が子猫の毛繕いをした際に唾液から感染する事もあります。

環境中では非常に不安定なウイルスで、室温では数分から数時間で感染力を失いますが、ペットシーツなど湿った場所ではやや長く感染力を保つ事ができます。

 

 

 

 

人にもうつるのでしょうか?

 

今のところ、「猫白血病ウイルス」は猫固有のウイルスで、人や犬など、他の動物には感染しないと考えられています。ネコ科以外の動物に感染したという報告はありません。

 

 

 

 

どうしたら、感染しているかどうかがわかるのでしょうか?

 

猫白血病ウイルスは、動物病院で簡易的なスナップ検査(血液検査)を行なう事ですぐに感染しているかどうかがわかります。

ですが、検査では血液中にウイルスがあるかどうか、という事がわかるだけで、今後どのような経過となるかまでは判断できません。

 

 

 

 

感染したら、どのような症状が出るのでしょうか?

 

ウイルスに感染した最初は、発熱や元気がなくなるなど、風邪に似た症状が出ます。また、リンパ節の腫れや白血球減少症、血小板減少症、貧血なども起こります。これらの症状が見られるのは、感染してから2〜4週間ほどと言われています。

血液検査で猫白血病ウイルスの陽性反応が出るようになるのもこの頃からですので、感染してすぐに陽性反応が出るわけではなく、感染してから4週間ほどかかります。

一度だけの検査で陰性と結果が出ても、感染が疑わしい場合は期間を開けて再度検査を行ないましょう。

感染した場合でも、猫自体が全くウイルスの増殖を許さずに感染をはね除け、陽性にならない場合もあります。

 

 

#「一過性」で終わる場合

その後、上記の症状は一旦おさまるのですが、猫の体の中ではウイルスが排除されているとは限らず、排除されている場合もあればウイルスが増え続けている場合もあり、感染が続いているのかどうか外見では判断できません。

しかし、成猫の場合は比較的高い割合でウイルスを排除し、その後、症状を発症する事なく回復します。

その場合は検査で一度「陽性」と出ていても、感染から16週以内に「陰性」となります。こういったケースは感染はしたものの、一過性に終わったという事になります。

ただ、「潜伏感染」の可能性もあり、その場合は1年ほどの間は持続感染の状態に変わる可能性があると言われています。一度感染した猫が、妊娠・出産をする事がある場合や、輸血で血を提供する側になるような場合には必ず、簡易的な「スナップ検査」とは別に、ウイルスの遺伝子が残っていないかどうかを調べる検査も行なうようにしましょう。

 

 

#「持続感染」した場合

感染してから4ヶ月以上、ウイルス血症(検査結果は陽性)が続く状態を「持続感染」と言います。その場合、ほとんどは3年以内に白血病やリンパ腫などの血液の腫瘍や、貧血や腎炎、口内炎など、様々な症状を引き起こします。妊娠している場合は流産や死産してしまう事も。

また、人が気付かないうちに感染初期の症状がおさまる事も多く、「いつの間にか感染していた」というケースもあります。

 

 

#感染拡大防止の努力を!

感染初期であっても、持続感染であっても、感染猫からはウイルスが排出される状態となりますので、他の猫に感染させないように注意しましょう。

前述のように、多頭飼育の環境であれば、部屋を分けるなどして猫同士の接触がないようにします。人にはうつる事はありませんが、人がウイルスを運んでしまう事は大いに有り得るので、感染した猫と接触した後やその猫が使用した食器やトイレのお手入れをした後は、必ず石鹸で手を洗う、アルコール消毒をするなどを心がけましょう。

また、ノミが感染した猫の血を吸った後、ノミ体内にウイルスを保有している状態になる事が確認されているため、推測の段階ですがノミを介して感染する可能性もあるのではないかと考えられています。室内飼育であってもノミダニ駆除は行なうようにしましょう。

 

 

 

 

感染した場合の治療方法はあるのでしょうか?

 

感染したウイルスを直接退治して排除する方法は今のところありません。

そのため、多くは症状に対する治療=対症療法が選択されます。

感染初期の症状には、症状に応じて抗生物質の投与などの治療を行なう他、猫自身の免疫を助けるためにインターフェロン(動物の体に侵入したウイルスなどの病原体や腫瘍細胞などの異物に反応して動物自身の細胞が分泌するタンパク質)を使用する事もあります。

無症状の場合や潜伏感染が疑われる場合は、とにかく栄養をしっかりと摂り、ストレスをなるべくかけない飼育管理をすることになります。体調に大きな変化がなくても定期的に検査を行なうようにしましょう。

持続感染の場合は、とにかくそれぞれの症状に対してできる治療を行なっていくほかありません。食事がとれなければチューブからの給餌を含めた食事療法が必要になり、水が飲めなければ点滴をしたり、口内炎が酷ければ鎮痛剤の投与など、様々な対症療法があります。

 

 

 

 

「猫白血病ウイルス感染症」を予防するには?

 

とにかく感染した猫と接触をさせない事です!

ワクチン接種で予防できる場合もありますので、完全室内飼育であっても検討してみるのも良いかもしれません。

ただし、このワクチン接種は感染を100%防ぐものではありません。ワクチン接種後に万が一感染した場合、症状を抑えるためのものです。

また、感染していない猫に効果があるものになるので、すでに感染している場合には発症を抑えたり進行を止めたりする効果はありません。

 

 

 

 

感染した猫との暮らし方

 

持続感染をしている場合、または陰性に変わってから1年未満で潜伏感染の可能性がある場合は猫の免疫状態を良くするために飼育環境を良好にして、極力ストレスがかからないように快適な生活を送らせてあげる事が大切です。寒暖差や過度の緊張などは猫にとって負担になりますので、完全室内飼育にしてあげましょう。

また、避妊・去勢手術を行ない、発情や妊娠、他の猫に対する興奮など、体にストレスのかかる機会を減らしてあげましょう。定期的にウイルス検査や健康診断を行ない、体調の変化をできるだけ逃さないように気を付けてみてあげましょう。

 

もし、何か症状が現れたり、FeLV関連疾患を発症してしまった場合は、それに対してひとつずつ治療を行なっていくとともに、疾患によってはどう言った治療方針で猫の負担を和らげていくか、家族や獣医さんと相談して治療を選択していく事が大切です。

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

「猫白血病ウイルス感染症」は防ぐに越した事はありません。

今後猫ちゃんを迎え入れたいと考えていらっしゃる方、完全室内飼育を検討してみてもらえたらと思います。

「外に出さないのはかわいそう」なのではなく、「猫ちゃんの命を守る行動」だと認識してもらえたら嬉しいです。

 

 

 

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