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2021/3/7犬の後ろ脚がおかしい! それって『膝蓋骨脱臼』かも?

 

犬を飼っていてこんな経験をされたことがある方はいらっしゃいますか?

「散歩していたら急に後ろ脚を上げたままになった」

「後ろ脚を触るのを嫌がるようになった」

犬が後ろ脚を気にするようになる原因はいくつかありますが、その一つに『膝蓋骨脱臼』というものがあります。

 

今回は犬、特に小型犬で多く見られる『膝蓋骨脱臼』について解説していきます。

 

 

膝蓋骨脱臼とは

膝のお皿(膝蓋骨)の位置が正常な位置からずれてしまった状態です。

 

太ももの骨(大腿骨)の膝側の端には大腿骨滑車という溝があります。膝蓋骨はここにはまるように存在し、膝関節の曲げ伸ばしとともにちょうど滑車のようにこの溝を滑るように移動します。

 

膝蓋骨が脱臼してしまうと、膝関節の体重を支える機能が大きく損なわれてしまい、体重を支えることができず脚を上げたままの状態になってしまいます。

急性期や進行してしまうと痛みを感じるようになる他、常に片脚をあげることになるため、もう片方の脚に負担がかかってしまいます。この結果左右の脚の筋肉のバランスが崩れてしまったり、正常であった方の脚にも障害が出ることがあります。

 

また余談ですが、膝蓋骨は英語でpatellaということから、膝蓋骨脱臼の事を「パテラ」と略していう場合もあります。聞き慣れていないと難しく聞こえてしまうかもしれませんが、「膝の皿がずれてしまっているんだな」と理解してもらえれば問題ありません。

 

 

 

 

膝蓋骨脱臼の原因

膝蓋骨脱臼の原因は大きく分けて2つあります

①大腿骨と膝蓋骨の関節異常

大腿骨滑車の溝が浅いと、膝蓋骨がうまくはまらず不安定な状態となり、脱臼しやすくなってしまいます。小型犬では大腿骨滑車の溝が浅いことが多く、このため小型犬で膝蓋骨脱臼が起こりやすいです。

②膝蓋骨を支持する筋肉群のバランスが崩れてしまっている

膝蓋骨は太ももの内側の筋(内側広筋や縫工筋)と、外側の筋(外側広筋や大腿二頭筋)両方から引っ張られて、ちょうど真ん中に位置しています。この釣り合いにアンバランスが生じてしまうと、より強い張力のかかる方向に膝蓋骨がずれやすくなってしまいます。

 

これら両方の原因が組み合わさって脱臼してしまう場合や、外から強い衝撃が加わった場合など外傷性にも脱臼する可能性があります。

 

 

膝蓋骨脱臼のグレード

重症度(グレード)によって四段階に分けられています。

グレードⅠ

 膝蓋骨を手で押すと脱臼するが、手を離すと正常な位置に戻る

グレードⅡ

膝を曲げると膝蓋骨が脱臼するが、膝を伸ばすと正常な位置に戻る

グレードⅢ

膝蓋骨は常時脱臼しているが、手で正常な位置に戻すことが可能(手を離すと再び脱臼する) 

グレードⅣ

膝蓋骨は常時脱臼しており、手で正常な位置に戻すことができない

 

 

 

 

膝蓋骨脱臼の治療

低グレードでは、リハビリテーションを行うことで膝蓋骨の安定化を図ることができる場合があります。膝蓋骨脱臼では膝蓋骨を支持する筋の不均衡が生じているため、曲げ伸ばしを行ない、固ってしまった筋をほぐすことが有効な場合があります。

 

高グレードの場合や、リハビリテーションに効果を示さなかった場合には外科手術が適応になります。

外科手術では以下の4つの手法およびこれらの組み合わせで行われることが多いです。

・滑車形成術

 大腿骨滑車の溝が浅い場合に安定性を向上させるため、溝を削って深くする手術です。

・内側膝蓋支帯解離術

 膝蓋骨脱臼では内側に脱臼することが多く、この状態は内側の筋の張力が大きいことを意味しています。そのため膝蓋骨を内側から支えている筋と膝蓋骨のつながっている部分(筋が腱に移行し、膝蓋骨と接着している部分)を切断することで、かかりすぎている張力を解放する手術です。

・脛骨粗面転移術

 膝蓋骨は大腿骨滑車に存在しますが、靭帯を介して脛骨ともつながっています。この脛骨とつながっている部位をずらすことで、膝蓋骨にかかる張力の方向をずらすことができ、これによって脱臼を防ぐ手術です。

・外側膝蓋支帯縫縮術

 膝蓋骨脱臼では内側に脱臼することが多いため、膝関節の外側は内側と比較して伸びた状態になっています。この状態では関節の不安定性が維持されたままになってしまうため、伸びてしまった分を切除して、関節の安定性を向上させるための手術です。

 

どの術式が適用されるかは膝蓋骨が脱臼してしまった原因やどの方向に脱臼しているかなどにもよります。

一次病院では膝蓋骨脱臼の手術を行えない場合もありますので、かかりつけの病院で手術が行えるかどうか確認しておくと安心です。

 

 

 

 

散歩やドッグランで遊んでいるとき、急に後ろ足を挙げたままになってしまうことがあり、動物病院でその原因を調べてみると膝蓋骨脱臼だったというケースは多くあります。お家の子がいきなりびっこを引くと驚いたり焦ったりしてしまうかもしれませんが、かかりつけの獣医師に相談するなど落ち着いて対応しましょう。

 

早期に対応できれば手術を行わずに関節の安定化を図ることができる場合もあります。お家の子がいつまでも元気に走り回れるよう日頃から気にかけてあげて、いざという時にも冷静に対応できるようにしましょう。

 

 

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